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「ママーー、イヤ、イヤ!!」
手術室に入った左心低形成症候群の1歳になる草間拓人くん。
泣きじゃくり唇が青白くなっている。
重度の心臓疾患がある男の子。
生後、肺血流が少なくBTシャント術が行われたが、成長をみてグレン手術とフォンタン手術の時期を検討していて、大和くんの執刀でオペをする事になった。
上大静脈(上半身から帰ってくる血液)と肺動脈をつなげるグレン手術と、上大静脈(上半身の血液がもどってくる静脈)、下大静脈(下半身の血液がもどってくる静脈)の両方を肺動脈につなぐフォンタン手術。
「グレン手術とフォンタン手術、同時に行うって大丈夫なんですか?」
通常は3〜6ヶ月の時にグレン手術を行い、間を開け1〜3歳の時にフォンタン手術をする。
グレン手術の段階では、全身へ回る血液のなかに青い血液が混じってしまい、チアノ-ゼが出る。
フォンタン手術を行う事で、下大静脈を肺動脈につなげすべての静脈血がそのまま肺へながれるようになりチアノ-ゼはなくなり、心臓からでた血液は全身を回った後、直接肺へまわって酸素をもらい、また心臓へもどってくるという循環ができる。
「問題ない。麻酔が効いて早く寝てくれたらいいんだけど……」
心電図、血圧計、パルスオキシメーターの数値がかなり高く、泣く事で心臓に負担がかかっている。
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