初期研修 産婦人科③

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初期研修 産婦人科③

「大和先生って神の手を持つ外科医有馬頼翔の1番弟子だったんだって」 循環器内科の病棟。 金森さんの巡回にきたら結婚適齢期な看護師達が大和くんの事をひそひそ話しているのが聞こえた。 「ダビンチ無しでバイパス手術を難なくやり遂げたって、凄いよね」 オペの動画を拝見させて貰った。 足の表面にある大伏在静脈を採取し、左肋間小切開で人工心肺装置を使用せず動いたままの心臓にバイパス手術を行った。 詰まっている4ヶ所の交換にかかった所要時間は1時間半。 あまりにも華麗な手捌きに思わず見惚れ、絶叫してしまった。 天才心臓血管外科医といっていいぐらいの腕前を持っていた。 「金森さん、出血量の確認をさせてください。後、乳房と子宮の状態を確認させて下さい」 初期研修医がここまでしていいのか不明だけど、美里先生に任されたから診察を行う。 「産婦人科的には問題ないですね」 出血量は正常で薬で母乳は止まってる。 子宮も正常に戻りつつある。 「咲良先生、息子にはいつ会えますか?」 「息子さんは健康上問題ないので、産婦人科の看護師に顔見せに連れてくるよう伝えときますね」 集中治療室から病棟に移動したから、赤ちゃんに合わせる事ができる。 術後3日目だから、絶対安静も明日解かれるはず。 美里先生に掛け合って貰って産婦人科に移動して赤ちゃんと同室させてあげたい。
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