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第一章 僕の生活
第一話 僕の日々
目が覚めてから意識をせずに暮らしていた。その日常がおかしいとも気づかずに。
ただ、目の前の日々を過ごしている。
白い壁。木製の床。白い天井。そして手の届かない位置にある窓。
僕はそれが普通だと思っていた。
鈍った意識と感覚では冷静な判断はできない。
いつもの通り、調達された食材から食事を用意し、置かれた薬と共に胃に流し込む。
いつも通り。いつも通り。
そうやって多くの時を過ごした。でもそれは全て、ある人との出会いでガラリと変わった。
「もしもし、リーエルさん……?」
『今すぐそこから逃げて!』
「すぐにって……」
『あなたが死んじゃう!!』
「えっ」
全てが、このまま続いていくと信じていたんだ。
ーーーーー
『もしもーし、聞こえてる?』
この部屋のベッドで目覚めてから長い年月が過ぎて、僕は18歳になった。最近はインターネットを窓にして僕が知らない世界を知る。リーエルさんとの出会いもその一つだった。
「うん、聞こえてるよ。リーエルさんは今日も元気そうだね」
『もちろん! Rくんはいつも通り元気?』
「うん。リーエルさんのおかげでね」
インターネットで知り合った僕たちは、初めからお互いについて知りたがっていた。何が好きとか、今日はどんなことがあったとか、そんな話をしていたらいくら経っても時間なんて足りないくらいで、誰かとこんなに楽しく経験は記憶では初めてだった。僕は気が付いたらここにいて、ずっと一人で過ごしていたからかもしれないけれど。
『ご飯はもう食べた?』
「うん。今日はオムライスにしてみた。リーエルさんは?」
『うそ……私もオムライスだったよ……! 偶然!』
いつも通りだと思っていたんだ。だけど、今日は朝から違うことが多すぎた。
僕の朝はそんなに早くない。毎朝9時にアラームで目覚め、朝食をとる。
冷蔵庫を覗けば食材は調達されていた。期限が切れたものは取り除かれ、量が少ないものは増やされている。そして、“薬”も新たに用意されている。
「(今日はやけに量が多い)」
薬の入れ物を見て僕は少しだけ身を引いた。この薬はここに来た時から飲んでいた。なぜ飲まされているのか、どの様な効果があるのかもわからない。でも、何もわからないまま、その薬の存在も僕の生活の当たり前になっていた。
ただ、ここまで量が多かった日は記憶にない。
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