04.

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04.

 そんなふうに陸斗と櫂は仲良くなった。櫂はときどき父親の古い天体望遠鏡を借りて天体を眺めると言った。それだけじゃなく、天体の写真をスマホで撮るのも楽しんでいた。櫂が撮影するのはそれだけじゃなかった。  放課後の帰り道、鉄道の高架から伸びる太いコンクリートの橋脚で笑う陸斗の姿。休みの日に同じクラスの男女も交えて出かけた図書館で勉強する合間に、図書館のロビーでペットボトルのスポーツドリンクを飲むみんなの姿。 「そりゃやっぱりカメラマンになりたいね」  夏休み、コンビニのアイスを食べながら櫂が言った。 「いいじゃん。櫂は写真撮るのが好きなんだから」  陸斗は今にも溶けそうなアイスを急いで食べながらこたえる。  コンビニの軒先が作り出す影の中で直射日光を避けながら二人はアイスを食べていた。夕方と言っても異常な暑さが街に満ちていた。セミの鳴き声さえも聞こえない暑さ。イートインコーナーはすでに満杯。しかたなく、コンビニの軒先がつくる日陰の下に逃げた。 「けど、本格的なカメラなんて持ったことないし。安いスマホで写真を撮るのが精いっぱい。だから、写真部のある高校に進もうと思うんだよ。写真部ならちゃんとした一眼レフのカメラがあるし、生徒が使えるんだって」 「カメラって高いんだ?」 「うん。めちゃくちゃ高い。中古だってあるけど、それも高い。それに本体だけじゃなくて、レンズもまた別に買わなきゃいけない」  一眼レフの価格を聞いた。親が買ってくれない理由もよくわかった。お年玉をかき集めてお小遣いの貯金を使っても無理な金額。 「お父さんも中学生の遊びにしては高すぎるって。僕は真剣に欲しいんだけど、でもやっぱりそんなに高いのは親に頼めない」  それでもとりあえずはスマホを使って、写真の撮り方を身につけているといった。インターネットで写真の撮り方を探して、カメラの構え方や写真の構図を自分なりに真似しながら勉強していると。 「だからスマホでも写真の撮り方が上手いはずだよ」 「ありがとう」  そう言ってアイスを食べる陸斗の姿を櫂がスマホで撮った。
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