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同郷の好青年
派遣先に名乗り出たのは戦地の野営病院。
後方ではなく最前線の激戦地。
手先が人より器用で再建外科手術が得意なのもあり、立候補した。
ケガや病気などで失われた体の組織を、ほかの部分から移植して作り直す再建外科手術。
限られた機材と薬品、不衛生な野外での治療。
できる事は傷の消毒と縫合。
創部感染による高熱には抗生剤の投薬。
骨折は簡易ギブスでの固定。
「兄さん、本当に医者か?」
「これでも28歳だ。医師免許持ってる」
年と性別を誤魔化し、勤務する。
かなり無理があるが多くの負傷者の治療を毎日行っているため、疑われなかった。
「Dr.小宮、縫合結紮が速くて上手いな」
「ありがとうございます」
同じ日本人のDr.瀬川。
私と同じで海外で飛び級で医師免許を取得したのか、見た目から若い。
できればやりたくないが、四肢の切断切除術のアダプタと、内臓の膿瘍腔内の壊死組織掻き出す掻爬に縫合手術は2人がかりで行うため、瀬川Dr.と組む事になる。
負傷した兵士が♾️と担ぎ込まれてくるから、無駄なお喋りは完無。
国境なき医師団の医師の派遣期間は3〜6ヶ月。
母から逃げるためのボランティア活動。
母に私の足跡がバレないようボストンには戻らず、ときどき国境なき医師団をやりつつ、アメリカ国内を渡り歩き、闇医者バイトをして生計を立て、ひっそりと暮らす事にした。
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