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「国境なき医師団の次の派遣までの待機でラスベガスに立ち寄ったから、まだ家は決めてない」
「そ、……そうですか。でしたら、ウチで静養して下さい」
ラスベガスの郊外に1LDKのアパートを借りている。
郊外だと築30年以上なボロアパートなら30$ぐらいで借りる事ができる。
ラスベガスの中心街(巨大カジノホテルが建ち並ぶストリップ地区)から西北西の方向に直線距離で25kmの位置にあるサマリン。
レンタカーを走らせ30分。
「ベッドに横になって」
私はキッチンにあるアルコープに設置したハンモックで寝ればいい。
Dr.瀬川にベッドを譲る。
「一応、抗生剤の点滴、もう1本打っとこうか」
闇医者をしてるから定価で仕入れるより安く薬品が手に入る。
とはいえ、1回45$。
国境なき医師団はボランティアだから報酬は1回あたり30〜45$で滞在中の生活費はかからないが、派遣から戻ってからの待機期間の生活費は自腹だから、闇医者バイトなどして働かないと生活できない。
「次、どこ行くの?いつ?」
「……ガサ。3週間後」
Dr.瀬川は最前線の激戦地に自ら志願して行っている。
「そっか、なら、しばらくはここでゆっくりしてって。ご飯何がいい?パン粥?お米もあるから米粥もできるよ。どっちがいい?」
「米粥」
母国だけど、日本に行った事がない。
言語取得のために世界中の人気ドラマ、アニメを5倍速で見ていて、日本の病院食に惹かれ、研究していた。
「米粥、初めて食べた。美味いな」
シーチキンとレタスを入れた卵粥。
完全にアレンジ料理。
本当のレシピはちりめんと水菜の卵粥。
Dr.瀬川がガサに派遣されるまでの期間。
共に過ごした。
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