親友の味

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私に名前は無い。 何故か、それは、私が人では無い、 あえて名付けるとしたら、その名前はという言葉が一番合ってると思う… 人間の魂を魂を喰らう怪物。 それが、私だ。 でも、私はそんな人間のことが好きだ。 例えば恋。 人間は、恋というものをするらしい。 それは、同種の事を好きになるという人間の本能から来る物… 生憎、私は、他の死神…同種の死神にあったことがない… だから、私は誰かを好きになったことが無いけど。 でも、人間は、一人一人が当たり前のように恋をする。 私は、それが羨ましかった。 一度だけでも良い。 「こ…ここかな…」 私は、目の前にある扉を見つめる。 そこには「403」と書かれた扉。 周りには白衣を纏った人何人もの人たちが右往左往に動いている。 ある人は、何かのファイルを抱き抱え、その扉の前の廊下を歩き、ある人は、廊下の壁につけられた手すりに寄り添いながら歩く。 私は、病院の廊下に立っていた。 私は、そんな廊下の扉を潜り抜け、その際の部屋へと足を踏み入れる。 片手に一冊の本。 もう片手に自分の身長よりも大きな大鎌を持って。 私は、病室の中に居る一つだけある窓辺のベットで窓の外を眺める少年に近づいた。 「えっと…相田(アイダ)絢斗(ケント)君…だよね…?って…言っても聞こえないか…」 死神の声は人間には聞こえない。 姿も見えない。 「はい〜?」 ずっとそう思っていた。 この少年…ケント君に会うまでは。
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