天使だった子

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天使だった子

いつもわらっているきみが すきだった かわいいきみが だいすきだった 「てんしみたいだね」って いわれてた ほんとうにそうみたいで きっと きみはそらのせかいで なんらかの てちがいがおきて にんげんになってしまったんだなって そうおもっていた 君をきらう人はだれもいなくて むしろだれからも愛されていて そんな君がうらやましかったんだ ちょっとムカついたりもしてたんだ 君が悪いことをしてる姿が 想像できないくらい 君は本当に天使なんじゃないのかって そう思ってしまった 君を嫌う人は誰もいないはずで 誰からも愛されるべきだって 勝手に僕がそう思いたいだけだったのかな 本当に人間って勝手だよね きっと君にとってこの世界は とんでもなく息が詰まるから 故郷に帰りたいって 思っちゃったのかな 僕は初めて恨んだんだ 神様 どうして彼女に 羽根を持たせないまま此処に来させたんだって それさえあれば 彼女が何一つ傷つくことなく 飛んでいけたよね 彼女が傷ついていい理由なんて 何一つなかったんだ 人間になりたくなかったね 無事に戻れたらいいね 神様 自分勝手すぎる人間(ぼく)の願いを どうか どうか 聞いてください。 「いっちゃだめだ」 瞬間 天使は裸足のまま 崩れ落ちて 泣いていたんだ。
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