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4.0.1 舞台の袖
どこかで風船が割れていた。
気付けば辺りは闇に包まれ、霞む視界の中で、必死に叫ぶ誰かの声が聞こえてくる。
「スヴァン! しっかりして! スヴァン!」
重い雨が俺の身体を強かに打ち付け、血を洗い流し続けていた。
僅かに漂うのは、鉄と雨の匂い。
そして、昏く冷たい雨に沈むように意識は闇に包まれた。
* * *
『活きのいい死体もできたことだし』
神様は、少年の姿をした自称神様は確かにそう言っていた。
だから俺……いや、〝僕〟は今、鉄パイプのベッドに寝そべり、見知らぬ天井を眺めている。
体はどうか。動かせない事はないが、少しの動きでも重い痛みが走り、とても動かそうという気分にはなれなかった。
――僕が目を覚ましたのは二日前。
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