4.0.2 支部長

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4.0.2 支部長

 見知らぬ天井。  見知らぬ人々。  だけど、僕は知っている。僕の中のスヴァンテ・スヴァンベリは知っている。  ここは彼がその生涯を使命に捧げた場所。  文明圏最大の宗教であるシェスト教の、この国における最大の布教拠点にして各種事務を行なう本部、帝都大聖堂と呼ばれる建物の中だった。  帝都大聖堂は広大な帝都が帝都たる前からそこにあり、その帝都は広大な帝国の西端に在る。  更に帝国は広大なヒ大陸にあり、そのヒ大陸は世界に存在する四つの大陸の中で最も大きい。  教会の使命に生涯を捧げたと言っても、スヴァンテ・スヴァンベリは、お見舞いに来た皆からスヴァンと呼ばれていたこの肉体の持ち主は、しかし、聖職者ではなかった。  聖職者と言えば聖職者なのだが、という言い方が適切だろうか。
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