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シェスト教での序列は最も下位が助祭であり、スヴァンはその一つ上の司祭である。もっとも、ほとんどの聖職者が助祭なのだから、それなりの地位はあるとも言えるが、その司祭という肩書も、スヴァンにとってはそれほど重要なものではなかった。
なぜなら、彼の仕事はシェスト教の布教ではなく、ヒトの敵を討ち滅ぼすことによる人心の救済なのだから。
ヒトの敵の名前はケモノ。
それはシェスト教に古くから伝わるもの。
それはヒトの世を破壊する厄災だった。
* * *
治療期間と比べて短いリハビリテーションの後、僕は大聖堂の最高責任者の一人に呼び出された。
最高責任者の一人、という表現は何も知らぬ者から訳知り顔で指摘を受けそうなものだが、事実、帝都大聖堂には最高責任者が二人いる。
何事も表があれば裏があり、つまりそういうことなのだ。
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