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翌朝、起きてスマホを見ると、佐々木店長から大量の着信が入っていた。何かあったのかとすぐに電話をかける。店長はカンカンに怒っていた。どうやら昨日、注文と違うチョコを届けてしまったらしい。しかも、店長もそれに気づかずケーキに使ってしまったので、大量のケーキを作り直す必要があるという。
志郎はすぐに店に飛んでいき、平謝りした。店長は電話口で話した時ほど怒っていなかったが、「次同じことがあれば違う会社と契約するからね」と釘を刺された。
やはり昨日は大凶だったのだと、志郎は強烈に痛感した。もし占いの助言を守っていればこうはならなかっただろう。一刻も早く星占生術の代わりを探さなければならない。
志郎は会社から帰ると、一縷の望みにかけて星占生術を見つけた古本屋に行った。だがやはり、占いコーナーの棚にそれは無かった。
二ヶ月前の運命的な出会いが思い出される。偶然、棚からはみ出たあの本が目に止まり、そこから自分の人生は変わったのだ。
そんなことを考えていると、一つのアイデアが浮かんだ。また星占生術のようにはみ出した本を買えばいいのではないだろうか。
馬鹿げた考えに思えたが、藁にもすがる気持ちで試してみることにした。
本棚に顔の側面を押しつけ、どの本がはみ出しているのか調べる。どの本も棚の内側に収まり、綺麗に整列していた。しかし、一冊だけ、ほんの数ミリ棚の外にはみ出た本を見つけた。
志郎はその一冊を手に取った。タイトルは『江住友子の動物占い』で、100頁くらいの薄い本だった。
中をざっと見ると、人間を動物に分類し、それぞれの運勢を占うのだという。
志郎はそれをレジに持っていき、購入した。
家に持ち帰り、さっそく自分がどの動物に分類されるのか調べると、ライオンという結果が出た。人物評は『何事にも積極的で、どんな分野でも成果を出す人です!』とのこと。
志郎は呆れて本を床に放った。自分とは真逆の性格だ。他の頁を読む気にもならない。
その日も志郎は失意の内に就寝した。
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