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ヴァルカン・テンドリクスの失われた日々
――まずはじめに知ってほしいことはひとつだけだ。
おれは生まれながらの詐欺師だが、あの惑星での出来事だけは、どうにもこうにも計算外だったんだ。
惑星トラフォーン第13環。
夜は絶え間なく赤黒い霧が漂い、昼は肌を焦がすほどの紫外線が降り注ぐ、銀河連邦でも最悪の犯罪者どもが集う場所。
だが、おれにとっては、地獄よりもずっと心地よい。
名前はヴァルカン・テンドリクス。
略してヴァル。
身の回りの連中は大体こう呼ぶ。
それ以外の呼び方をしてきた奴は二度と呼び名を変えることができないようにしてやる。
おれは詐欺師だ。
いいか?
最も巧妙な、完璧な詐欺師。
何を詐欺してきたか?
銀河連邦中のあらゆるものだ。
貨物、情報、果ては王族の婚約者まで。
おれの手にかかれば、どんなものも価値があるように見せることができるし、必要ならば消し去ることもできる。
さて、どうしておれがこんな惑星に流れ着いたのか、って?
それは、この話の核心だ。
おれは、自分が何かを詐欺しすぎたことに気づいてしまったんだ―ー
人生そのものだよ。
そう、ただひたすらに騙し続け、手に入れ続けたその人生が、いつしかおれの首を締め上げていったってわけさ。
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