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孵る
「ホントに天使だね。アキにそっくりで」
「俺はハルに似てると思う。メッチャ天使」
出産は拾い集めた経験談通り、大した苦痛もなく終わった。
ただ笑えるほどお腹が波打ったのにはビックリした。
アキと笑い転げた。
陣痛の波ってそういうこと?って。
「良かった! 信頼が揺らいだら別の何かが産まれるっていうから心配してたけど」
柔らかな首を俺の肩に乗せてスヤスヤと眠るベビーは、天使みたいに可愛い普通の子供だ。
ハルとアキを合わせてハルアキと名付けた。
「いや、俺は絶対信じてた。天使な子が産まれるって。ハルの子だから」
アキ、凄いな。そこまで信じられるなんて。
「でもさ。ちょっと騙された?」
メガネの奥の瞳が笑う。
「まあね。どの卵を買ってもさ。たぶん」
「いやいや、騙されてないって。だって羽こそ生えてないけど、間違いなく二人にそっくりな天使なんだから」
ハルアキの寝顔にスマホを向ける。
「ヒビ入ってる。新しいスマホ買わないとな」
End
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