妊む

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アキがスケッチブックを開いて鉛筆で俺を写し始めた。 この時間が好きだ。 アキが俺を見つめて俺を描く。 そのアキを俺が見つめる。 「仕事の受注量増やさないとな」 アキは副業でイラストやデザインをネットで請け負ってる。 俺が産む役だということにアキが罪悪感を覚えるように、生活費の面では俺がアキに申し訳なく思ってる。 「きっとさ。天使の卵なら、アキに似た子が産まれんだろうな」 俺の目に映るアキは天使みたいだ。 サラッサラの黒髪には天使の輪が浮かんでて メガネの奥の瞳は青みがかって、肌の色も造形も蝋細工みたいな美形なんだから。 「動かないで。もうちょいだから」 「ふわあ。脱がなくていいの?」 真剣に見つめられると未だにドキドキする。 アキは元美学生で、バイト先で声を掛けられた。 絵のモデルになってくれない?って。 ヌードだと思ってたら服を着たまま描かれた。服を着て描かれてるうちに、自分から服を脱いで一緒に暮らして三年になる。 「どっちでも」 そう答える瞳には濡れた膜が張って本音の答えが書いてあった。 「じゃあ、脱ぐ」 俺はパンイチになって更にパンツも脱ぎ捨てた。 「膨らんできたね」 「え? ヤバ」 思わず下腹部に目をやると、「そっちじゃなくてお腹」と笑われる。
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