あなたの好みに合わせます

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 いつものようにお弁当を持って裏庭に出る。なごみがベンチで座って待っていた。周りにいた人たちは、お喋りをやめ、何故か足早に去っていった。  私はなごみに近づく。 「なごみ」 「ああ、カノ……」  私はなごみのとなりにすわる。何か様子がへんだな。 「ねえ、なごみ。何かあったの?」  なごみは私の言葉にはあっとため息をつく。え、何かおかしなこと言ったかな? 「何かあったの、はこっちのセリフ。あんた最近どうしたのよ」 「え、どうしたって、何が?」 「身長が急に縮んだから皆びっくりしてるわよ」  なごみの言葉に、もしかしてさっきの人たちが急に去っていったのは、そのせいなのかな、と思った。 「急に痩せたとかでも心配するけど、急に身長が縮むなんておかしいわよ。何があったの?」 「えーっと……」  まさか身長のせいで別れることになったなんて、はずかしくて言えない。けど、なごみには話してもいいかな。 「あのね、実は……」  私はなごみに話した。  なごみなら、分かってくれると思った。  私の話が終わると、なごみは口をゆっくり開く。 「一つ、聞きたいんだけど」 「うん、なあに?」 「その水やりって、今もやってるの?」 「え、うん。花の成長の分、身長が低くなるって書いてあったから」 「……。ちなみに、今どれくらい縮んでるの? 10cmくらいは縮んでるように見えるけど……」 「12cmくらいかな。佐藤の身長より低くなれたよ。これで佐藤もまた振り向いてくれるかなあ?」  そう言うとなごみは顔つきがとてもこわくなった。 「それどころじゃないってば! 縮みすぎよ! 水やりなんて今すぐやめなさい!」 「え、でも、身長低くしたいし、それに花もまだ咲いてないし……」 「花?」 「うん、花が咲くまでは身長ちぢめられるんだって!」  私の言葉に、なごみは呆気にとられたような顔をした。
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