運命の一冊

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年末恒例の若手の漫才大会。ネタを競い合う姿はドキュメンタリーとしても人気が高く、注目度は毎年あがり続けている。今は予選が繰り広げられている真っ最中。先日、準決勝に進んだ30組が発表され、驚いた人も多かったはず。【早起きは三千円の得】という無名のコンビが勝ち上がった。しかし、このコンビが世に知られていないのは当たり前。なんと彼らは、現役の高校生なのだ。大会予選に出場するまで、お笑いライブに出た経験はなく、人前で漫才を披露したのは学校の文化祭のみだという。一体どんなコンビなのか。【早起きは三千円の得】にインタビューをした。 -まずは準決勝進出、おめでとうございます 水鳥:ありがとうございます。 真成:いや、僕らは決勝いくつもりなんで、準決勝進出をめでたいとは思ってないですね。 水鳥:俺は準決勝にいけたの、めちゃくちゃ嬉しいよ。勝手に「僕らは」って言わないでくれる? -コンビ名の由来を教えてもらえますか? 真成:「早起きは三文の徳」を、もじっています。 水鳥:それはわざわざ言わなくても、皆さん分かってはるよ。このコンビ名は、元々は僕のラジオネームなんです。 真成:水鳥は昔、ハガキ職人だったんですよ。 水鳥:今もハガキ職人だけどね。僕、昔から芸人さんのラジオが好きで、よくコーナーにネタメールを送ってるんです。 真成:1回しか採用されたことないけどね。 水鳥:それは言わないでくれる? -おふたりがコンビを組んだキッカケは何だったんでしょうか? 水鳥:僕が教室で落としたノートを、真成が拾ったのが最初ですね。 真成:水鳥はラジオにネタメールを送るために、日常の中で気になった出来事をノートに書きためているんです。 水鳥:芸人さんへの憧れが強過ぎて、ネタ帳を作っていました。 真成:「早起きは三千円の得のネタ帳」って表紙に書かれたノートが教室に落ちていたら「ネタ帳?」って思うじゃないですか。それで中身をパラパラとめくってみたら、凄く面白くて。 水鳥:僕が「返して」と言っても、全然、返してくれないんです。 真成:「頼むから一晩だけ、このノートを貸してくれ」と水鳥に頼み込んで、家に持ち帰って夢中になって読みました。 水鳥:次の日にノートを返してもらったら、付箋がびっちりと貼ってあって。「ココとココとココが特に面白かった。これをうまくまとめたら、おもしろい漫才が出来上がるんじゃない?」と興奮気味に言われました。 真成:頭の中で繋げてみたら、すごくおもしろい漫才になったんです。これはもう、ふたりで実際にやってみるしかないですよね。 水鳥:僕は漫才を見るのは好きですが、やりたいと思ったことは一度もなくて。 真成:僕は、これは絶対にウケると思いました。それで「とにかく一回、学祭でやってみよう」と口説き落としました。 水鳥:僕は本当はやりたくなかったんですけど、一度はやらないと真成が納得しないと思って、仕方なしに。 真成:水鳥は最初、こんな感じでやる気がなかったんです。だけど僕が思った通りになりました。学祭で、体育館が揺れるくらいウケたんです。 水鳥:笑い声がうねりになって押し寄せてきて、これは凄いことになったと思いました。 真成:この漫才を学内だけで終わらせるのはもったいないと思って、漫才大会にエントリーしようと水鳥に持ちかけました。 水鳥:あのウケを体感してしまうと、今度は断る選択肢はなかったですね。 【早起きは三千円の得】が決勝に進出すると、史上最年少のファイナリストとなる。偶然、落としたノートは運命の一冊となるか?大会から目が離せない。
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