恋を始める瞬間

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「すっげえ旨いラーメン屋とか焼肉屋なら知ってんだけど。明日、臭いが気になるもんなあ」 「あーね、」 適当な相槌で、はっと気付く。 「納豆……!」 お昼、納豆食べたんだった。 そのあと歯磨きする前に玲さんからキス、されて。わたし、納豆臭かったんじゃない!? でも、触れるくらいのキスだったからギリセーフ? 「なに、どうかした?」 亜希が、うん?て聞いてくる。 「……納豆食べたばっかりの女と、キスしたことある?」 「納豆!?あーー、あったわ一度だけ。 つーか未遂?旅行一緒に行って朝飯食ったあと、キスしようとした寸前で匂って来たからやめたことあるな。 あれはどんだけ好きでもぜってー無理」 わー正直かつ大変参考になるご意見をありがとう。涙が出そうだよーー 「それも御曹司絡み?しっかり報告聞くからな」 ニヤ、と笑われて身がすくんだ。 いやでも、セクハラ疑惑の汚名ははらさないと。 「あ、ここでいいじゃん。入ろうぜ」 亜希に従い、小洒落た洋風居酒屋に入る。 「俺は生中。璃珠は? 少し酒入った方がいんじゃね?」 「んーなんかある?度数低くて甘くないやつ」 「ウーロンハイ薄めで頼めばなんとかなんだろ。すみませーん、」 特別オーダーなので店員さんを呼んで頼んでくれた。 このまめまめしさが女性からしたらポイント高いんだろうなって思う。
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