玲side•恋に落ちる直前

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玲side•恋に落ちる直前

◇ 「七瀬璃珠(ななせりず)ちゃんていうんだけど。 ちょっとありすと名前似てるのよね」 俺の長年の片想いの相手、ありす。 その親友•未歩の言葉にも最初は全く興味なかった。 秘書課に配属される新人で、大阪の本店で約一カ月の研修を終えて、5月のゴールデンウィーク明けからこちらに出社するという。 「まだ電話のやり取りしかしたことないんだけど。声がめちゃくちゃかーわいいのよ! これなら実際顔がドブスでも許せるくらいの可愛い声」 未歩の言葉に波瑠も「あーわかるわかる」と賛同する。 「あの声なら目瞑ってればヤレそう」 「でしょーー!?」 「っお前ら、そーいう話オフィスですんなよな」 「ハイハイ、(これだからドーテイくんは)」 「オイ未歩、なんか言ったか?」 「言ってませーーん、 でね、ちょうど仁の出張と丸被りでさぁ だから仁も会ったことないんだって」 「なんだよ仁つかえねーなあ」 「こら波瑠もいいかげんその話ヤメロ。 セクハラだぞ?」 「へいへい、」 全く、なんて秘書達だ。 呆れているところに、内線が鳴る。 「お、ちょうど璃珠からじゃん。 毎日の定時報告。ホラ玲、出てみなよ! 璃珠ちゃんのかあわいい声、聞いてみ?」 未歩にしつこく促されて、渋々と内線に出る。 「ハイ、こちら秘書室です」 『……お疲れ様です。秘書課配属予定の新人、七瀬です』 ───おいなんだよ、このクッソ可愛い声は。
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