恋を始める瞬間

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だってワンナイトだもん。 しなきゃ意味なくない? なんて、してもらえなそうになったところを引き止めたのはわたしだけど。 そう思うと、余計に落ち込むなあ。 「ちょっと璃珠、なんか勘違いしてない?」 志水さんの言葉に我にかえる。 「勘違い、ですか?してないつもりですけど」 だって、ちゃんと一夜のことだってわきまえてる。 一度寝たくらいで彼女ヅラするつもりもないし、なんならなかったことにしてもらっても...よくないけど、それも仕方ないと思ってる。 「ワンナイトなんてあんなの、ただの噂だよ。 一夜限りの女なんて、これまでもいなかった」 「そんなこと。だって藍原さん、凄く素敵でしたよ」 こんなこと言えちゃうの、たぶん相手が志水さんだからだと思う。 「だったらそれ、玲がめちゃくちゃ頑張ったんだと思う。だって玲、童貞だったんだから」 「はい?」 ドーティ、って聞こえたんですけど。 道程?え、まさか、、童貞……? 「やだそんなわけ、」 「ほんと。璃珠とヤッたんなら、璃珠が初めての相手」 うそ。 うそ、でしょ? 「なんで、あんな素敵な男性が……ああ、」 舞い上がった途端、地に堕とされる。 ────それだけ瀬那さんを想っているということか。
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