113人が本棚に入れています
本棚に追加
午後はテレマーケティング部のお客様対応資料作成の手伝いで、ずっと端末作業だった。
仕事の幅があり過ぎて、正直うへえってなってる。
でも頑張る。
だって玲さんに相応しい女になるんだもん。
そこに、社内メッセージの通知を知らせるアイコンマークが画面右下で点滅した。
誰かと思いクリックしてみれば、亜希から。
『金曜夜の案件、要報告。
業後、速やかに1階エレベーターロビー』
一応仕事っぽく送って来てるけど、御曹司とのことを根掘り葉掘り聞くから夜空けとけよ、そこで待っとけや、って意味。
『その件について報告義務はありません』
秒で返信される。
『御曹司セクハラ疑惑浮上』
はあ?
と思ってるうちに、続けて受信。
『緊急度1、要説明案件。
リマインド〉業後、速やかに一階エレベーターロビー』
それは……たしかに、噂を訂正する必要がある。
『了解』とひとこと送り返し、業務を続けた。
◇
「遅っせえよ璃珠ーー」
定時から15分しか過ぎていないのに、その言いよう。
「週明けたのに、アンタんとこまだそんな暇なの?」
「うち、ユルイのよー しかも今月は御曹司が大口決めてくれちゃったから、目標達成してんの」
へらっと笑いながらも″御曹司″のワードでわたしの様子を窺われている気がする。
「とりあえずどっか店行こ、」
歩き出した亜希についていった。
最初のコメントを投稿しよう!