恋を始める瞬間

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「ぶっちゃけオマエさあ、すげえイイ女の部類に入るわけ。 顔は文句なしだし、ちんちくりんだけどそこがオンナノコらしくて可愛いっつーか。 声もヤバいし。 言われてんぞ、あの声で喘いだらどうなんだろなって」 「っ最低、最低!!」 亜希を叩こうとした手を「俺じゃねえって、他のヤツら!」と遮られた。 「だから御曹司が何回でもオマエとヤリてえってのも、同じ男としてわかるワケ。 あー勘違いすんなよ?俺は璃珠とどうこうなる気は全くねえからな?」 「っ、とにかく、セクハラではないから。 そこんとこ、みんなに訂正しておいて」 あのお持ち帰りタクシーの現場にいたのは井浦さんと志水さん、あとは亜希含めた数人の同期だけだから、亜希がみんなに言ってくれれば問題ないだろう。 「璃珠が傷つくとこ見たくねんだけどなー」 「うるさい、亜希」 「は?店の雰囲気に合わせて穏やかに話してるつもりだけど?」 「言ってることがうるさいんだよ、ばーか」 「こういうやり取りもさ、俺じゃなかったら可愛さでしかねえんだよ。 璃珠、ガード固そうで実は脆いから心配してんだからな。 あれ?あーやべ、そんなんで酔っちゃう?」 亜希が気付いた通り、目がとろん、としてきた。 こんなうっすいウーロンハイ一杯で酔っ払っちゃった? 「酔いつぶれてそのへんのホテルにとか、マジごめん。瀬那さんに言い訳出来ねえ。 いいか、次はしっかり断れ?もう騙されません、てな。よし、帰るぞ」 亜希が残りのビールを飲み干して、席を立った。
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