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情熱的に、何度も唇を唇で包まれる。
こんなキスで絆されたくない。
けれども押した胸は、びくともしてくれなくて。
「だめだよ、大人しくして」
優しく囁かれる言葉に、自然と身体の力が抜けていった。
そのうちに舌が遠慮がちに入ってきたけれど、わたしが抵抗せず受け入れると、そこからはお互いにたっぷりと絡ませ合って。
好き、好き、大好き───
もう、それだけで頭がいっぱいになった。
ようやく、はあ、と熱い息を零し合い、名残惜しそうに離れた唇。
「もう璃珠は、アルコール禁止な」
「……え?」
わたしの後頭部を引き寄せ、肩にくっつけた。
「昼休みあんな素直だったのに、なんでこんな拗らせてるの。それ、酒のせいだろ?」
「そう、かな。でもあの、亜希が」
「俺と酒匂の言うこと、どっち信用するの?」
「え、っと、」
あれ、なんか……
「さっきの電話の相手、酒匂から。なんで酒匂と2人で飲んでたの?」
あ、通話してたの、わたしのスマホだったんだ。
そっか、連絡しろって言ってたのにしなかったから心配して掛けて来たんだ……
「もしかして玲さん、妬いてるんですか?」
玲さんの顔を確認すると、「そりゃあね、」とあからさまに拗ねていて、胸がきゅんとなった。
涙はすっかり、引っ込んでしまった。
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