恋を始める瞬間

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思わず、玲さんにむぎゅうと抱きつく。 「玲さん、好き」 上目遣いで玲さんを見上げた。 玲さんが、照れながら視線を泳がせる。 観念したように息をつき、わたしを優しく見下ろした。 「可愛いコが可愛い技を使うんじゃないよ」 また、キスをされる。 玲さんの首に腕を絡ませ、そのキスを深く淫らにしていく。 こんなに大胆になっているのは、お酒のせいだろうか。 あれっぽっちで? でも、今はお酒のせいにしたい。 だって、じゃないとこれからお願いすることが、恥ずかし過ぎるから。 「───玲さん、抱いて?」 「……璃珠、具合はもういいの?」 「玲さんがしてくれたら治ります、たぶん」 「あざといね。それも、俺以外の男にするなよ?」 「しません、玲さんだけです」 玲さんの、あの温もりが欲しい。 繋がって、貴方はわたしのものだと、いやというほど確かめあいたい。 そして、わたしは貴方のものだと何度も伝えたい──── ◇ 「ぁっ、ぁ、玲さん、っ」 「可愛いよ、璃珠。すごく可愛い」 息を荒げながら落とされるキスは強引で、激しくて、だけど丁寧で。 じゅうぶんに愛されていることが伝わる行為に、心も身体も満たされていく。 寝室のベッドがいやらしくギシ、ギシ、と軋み、シーツはわたしの背中の下で皺だらけに寄っている。 それもすべてわたしたちをより熱く、淫らに染めていく。 「ああっ、!!」 ───こんなにも幸せな気持ちで達したのは、初めてのことだった。
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