恋に落ちられる瞬間

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「兄貴、俺生中ね。璃珠は、何にする?」 「わたし、トマトジュース小ジョッキで」 「はあ?なんだそれ」 「お酒弱いし。それ飲めば夕飯になるから」 「はああ!?」 「っ、もう亜希、いちいちうるさい」 「そんなんだからちっこいまんまなんだろ? 150センチないとか笑える。小学5年生の従姉妹の方が身長あるわ」 「ちゃんと150いってます!152センチです!」 そこ、めっちゃ重要だから。 しっかり訂正しておかないと。 「ハイハイ、亜希はほんとうるさいから静かにしてねー。璃珠ちゃん、夕飯済ますつもりならこれもどうぞ、亜希の奢りでね」 郁さんが出してくれたのは、オーダーのトマトジュースと、おでんだった。 しかも栄養を考えて、玉子と大根とロールキャベツ。 「わあ、ありがとうございます! 亜希アンタ、郁さんのこの優しい気遣い見習いなさいよねー。ほんとに郁さんと兄弟なの?」 「うっせぇわ。つーかそれ食いながら話聞けよな」 「なに、相談とかいうやつ?」 「そーそー」 けれど、そこで話が頓挫する。 「郁さーーん、いつものお願い〜」 「お疲れーありすちゃん」 「瀬那さん!!!」 ちょうど来店した女性のもとに、亜希が尻尾を振るがごとく飛び付いていったから。
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