運命、除外。

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四方を海に囲まれた緑豊かな王国、ソルティア。この国の王家には代々受け継がれる不思議な本がある。 「ウソ、でしょ」 ゴトン!と大きな音を立てて、分厚い本が私の手から床に落ちた。 「姫様!本に浮かび上がった名前は一体誰でしょうか?我が息子ロベルだと大変光栄なのですが」 ふくよかで温厚そうな男が私に駆け寄って来る。彼はソルティアの宰相リベル・コルツォカ。 私はふるふると首を振った。 「……ないわ」 「え?」 「本のページは真っ白。私は国外追放よ」 その言葉に神殿に集まっていた国の重役達がざわつく。私の名前はエリザ・ソルティア。ソルティア王国の第一王女だ。 そして王家に代々受け継がれる不思議な本、この本は十八歳になった王子王女が手に取ると最初のページに結婚相手の名前が浮かび上がる。 ただ、浮かび上がらなかった場合……その場合は王国に災いをもたらす者として国外追放となるのだ。 「そんな、何かの間違いです!私の可愛い娘が災いをもたらす訳がないわ!」 王妃である母が叫ぶものの、頭が真っ白になって何も考えられない。 ふ、と私の意識は途切れた。
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