～みちのく年の差遠距離恋愛シリーズ第一弾～ 新篇・マルクスを読む東北人

事件はある朝、突然に

「ニュースを申し上げます。エブリスタＡＩ開発研究所の所長、田辺誠一郎氏が昨夜未明、自宅で何者かに襲撃され意識不明の重体です。犯人は田辺氏に殴る蹴るの暴行を加えて逃走。現場検証の結果、田辺氏が意識を失う直前に流れ出る血で書いた『ＡＩ』のメッセージが床から発見されました。この研究所は、青森県警と提携し、ＡＩの犯罪捜査への活用について研究していました。捜査本部では、このメッセージを踏まえ、犯人がＡＩの関係で田辺氏を狙ったものと見ており、スパイ組織の犯行も視野に、捜査を進めています。田辺氏からのメッセージの意味を解読すべく、警察では現在、研究所の所員の立ち合いの下、研究所と田辺氏のコンピュータの解析を進めています。小泉官房長官は、

『重大事件として、早期の解決をめざして貰いたい』

と警察庁長官に要請し、本日、軍事研究家として知られる防衛大学の倉橋(くらはし)助教授と意見交換をする予定です」

　ただちに青森県警内に捜査本部がつくられ、捜査が始まったのです。もちろん、彩良も捜査に参加します。めまぐるしい展開に、彩良は思わずため息をついていました。