■救急車!

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■救急車!

秋も深まって、風にのって金木犀の香りが、もうすぐ冬になると教えてくれる頃になった。 その日は、胃の辺りが痛んで昼食のサンドイッチもあまり食べられなかった。 まあ 胃腸炎なんだろう。 そう思って、なんとか在宅での仕事 やり終えた。 夕食は 簡単にシチューを作ったのだけれど、やはりお腹が痛く ほとんど食べられなかった。 「ママ食べないの?」 「うん、なんかお腹が痛いんだよ…いてて…」 そう言ってるうちに突然吐き気がした。 なんとかトイレまで行ったが、昼からあまり食べていないから戻すものはない。でも吐き気だけは繰り返してやってきた。 額に油汗が滲んで、体が震えていた。 「ママ、大丈夫?唇 真っ白で顔色変だよ!」 「痛いわ…いたたたたた」 「救急車呼んだ方がいいんじゃないかな!」 「うーうーいたい…」 「救急車呼ぶよ!」 「うー」 お腹を抱えてただ うずくまっていた。 救急車がやってきた。 「母が、夕食はほとんど食べられなかったんですが、腹痛と吐き気を繰り返しているんです」 翔太が救急隊員に私の容体などを説明していた。 なんだかずいぶん ハキハキ喋ってるみたいだな…ぼんやり聞きながら そんなことを思った。 診察をしてもらい、虫垂炎だと診断された。 点滴をして、一晩 緊急に入院することになったが、あとは手術ではなく、通院で薬を飲んで治療しましょうということになった。 翌日、息子が迎えに来てくれた。 私の横で、先生の説明を聞いたり、家での生活や食事の注意事項などを質問したりしていた。 敬語も使っていた。きちんと、ハキハキした話し方をしていた。 息子が突然 ずいぶん 成長したように思った。
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