18人が本棚に入れています
本棚に追加
■翔太は中学生になった
中学の入学式の日、桜の木の下で、ちょっと照れたような顔をしている。
長ズボンをはいた翔太は、急にお兄さんぽく見える。
同じクラスには 2、3人 仲の良い友達もいて、喜んでいた。
クラブ活動では、吹奏楽部に入りたいなと言っていた。
クラブ活動はいつからはじまるのだろうか。
夕食後には、自室でよくハーモニカを吹いていた。
私との会話が減ってしまった。
年頃のせいだろうか。
裕一とは、よく日曜日の朝に電話で話していた。
この時間だとヒューストンは土曜日の夜になる。
小学校のころは、翔太も電話で話したがって、学校のことや友だちのことなど沢山喋っていた。もちろん裕一も翔太と話すのを楽しみにしていた。
けれど、中学になってからは、あまり電話に出なくなっていた。
「翔太に嫌われちゃったのかなぁ」
「それはないわよ!自慢のパパなんだもの。年頃のせいじゃないかしら。近頃は私ともあまり話さなくなっているの」
「そうか……」
裕一は寂しそうだった。
年頃のせいだったらよかったのだけど……。
最初のコメントを投稿しよう!