■それは突然始まった

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■それは突然始まった

ある日……翔太は突然学校へ行かなくなった。 次の日も、その次の日も行かなかった。 理由を聞いても、何もいわないのだが、学校へ行く時間になると急にお腹が痛くてたまらなくなるのだった。嘔吐や発熱を伴っていることもあった。 これは……多分……登校拒否だ! これまで考えた事も無かった言葉! 頭にガーン!と一撃を食らったようだった。 しばらく家でノンビリ過ごしたら、また行くようになるだろうか? わからない……。 何か原因があるのだろうか? わからない……。 裕一には、しばらく 知らせないことにした。 知らせたら、どんなに心配するだろう。 でも、何か力になって貰うことも出来ない。 裕一だって異国で孤独に頑張っているのだ。 心配かけたくない。 夏休みになったら、また帰国してくるだろう。 その時までに、なんとか元気を取り戻してくれたらいいのだけど……。 翔太が学校へ行かなくなってからも友達は よく遊びに来てくれた。 友達や学校の様子などしゃべったり、ゲームしたりして遊んでいた。 が、そのうち 友達が来るとベッドに潜り込んで寝たふりをしているようになった。 「せっかく来てくれたのに、翔太ったらよく寝て いて起きないの。ごめんね」 そう言って断ることが増えてきて、友達もだんだん 来なくなってしまった。 こっそり友達に「学校でいじめられてるなんてことはないのかな」と聞いてみたこともあるのだけれど、 「それはないと思うよ。学校に来てた頃は、いつもみんなと楽しそうにしてたんだよ」 とのことだった。 やっぱりいじめられてるのではないようだし、一体何が原因なんだろう?
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