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あれから数年が経った。
振り返ると、あの時の俺は、卒業式前で浮足立っていただけだと思う。
けれど『運命ノート』は健在だ。
たまに開いては、消して足してを繰り返し、もう少しで全ページ埋まりそうになっている。
ビジネス書には、これと似たような手法を説くハウツー本が溢れているのを知ったのは、つい最近。へーと思いつつ、高校卒業時にこの手法を独自に編み出した俺すごい、と悦に入ったりして楽しんでいる。
運命なんてものは、今さら信じてはいない。
むしろ、『運命ノート』のおかげで、運命を自ら作り出し、あらゆる可能性の道への手綱を握っている感覚があって、楽しい。
だから、俺の運命はまだ定まらない。
あと10年くらいは、うねうねと運命の道を曲げながら歩いていこうと思う。
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