ゴーストライター

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 今となっては、さすがに先生のことを敬愛はしていなかった。  でも、感謝はしていた。  いつか、会ってお礼を言いたいとずっと思っていた。  私が本気で小説を書くきっかけを与えてくれたのは、間違いなく先生だったから。 『トスーゴの魔法使い』に出会ったことが私を変えてくれた。  そのことを伝えて、心からのお礼を言うつもりだった。  あの時のことについて、怒るつもりも責めるつもりも無かった。  純粋に感謝の気持ちを伝えたかった。  本当に、ただそれだけだった。  なのに……  どうして先生は、私を刺したんだろう。 (終)
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加