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今となっては、さすがに先生のことを敬愛はしていなかった。
でも、感謝はしていた。
いつか、会ってお礼を言いたいとずっと思っていた。
私が本気で小説を書くきっかけを与えてくれたのは、間違いなく先生だったから。
『トスーゴの魔法使い』に出会ったことが私を変えてくれた。
そのことを伝えて、心からのお礼を言うつもりだった。
あの時のことについて、怒るつもりも責めるつもりも無かった。
純粋に感謝の気持ちを伝えたかった。
本当に、ただそれだけだった。
なのに……
どうして先生は、私を刺したんだろう。
(終)
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