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私には敬愛する作家の先生がいた。
その名は小阪詩為。
ファンタジー小説を手掛けていて、主に若者向けに異世界転生ものや悪役令嬢ものを手掛けている。
そんな小阪先生の代表作と言われているのが、『トスーゴの魔法使い』という作品だ。これは小阪先生の作品の中でも異質の作品で、異世界転生ものでも悪役令嬢ものでもない。
魔法文明が花開くトスーゴ帝国にて、奴隷の少女がひょんなことから不思議な力に目覚め、やがて世界の運命を左右する戦いに身を投じていく……というストーリーだ。
ファンタジー色は強いものの硬派な作風になっていて、書店では一般文芸として扱われている。最初はライトノベルの扱いだったが、発売されるや否や口コミで話題になり、一気にベストセラーとなった。
こうして、『トスーゴの魔法使い』は作家・小阪詩為の地位と名声を大いに押し上げることになった。発売から2年ぐらいが経つ今でも、書店では常に目立つところに置いてもらっている。
私がこの本と出会ったのは1年以上前のことだった。
世間で評判になっていたので、興味本位で買ってみたのだ。
そして、1ページ目を読んだその瞬間から、私は衝撃を受けた。
最後まで目を離すことができなかった。
なぜなら、この作品は私が書いたものだったから。
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