See you next week

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「それから、どうしたの」   ぼくは、目のまえで歯につまようじを刺している祖父にきいた。 「どうしようもしない。それがほんとに最後だった」  祖父はみかんの最後のひとふさを口にいれた。 「それからしばらくして、彼女が亡くなったときかされた。あの公園で、彼女のお兄さんにな。それと、すこし謝られたよ」  理由もわからないし、事故なのか病気なのかも教えてくれなかったらしい。祖父はお盆に湯呑をのせると、台所に運んでいった。  ぼくは、座卓のうえの古い文庫本を手にとってパラパラとめくってみた。  すると、最後のページのとこに一枚の紙が二つ折りにされてはさまっていた。  これは……。   祖父の話だと、これは祖父のものではなく、その女の人がくれたものだ。祖父が、これを書いたのだろうか。でも、それにしては……。  ぼくはその紙を抜いて、ひろげた。  古くなって文字もだいぶ消えかかってはいるが、そこにはこう書かれていた。    しげちゃん だいすき    祖父は台所で、ふたりで使ったお皿をスポンジでこすっている。きっと、祖父はこの紙の存在には気づいていない。でも、わざわざ教える必要もないよね。  だって、いまさら気づいたって、もうどうにもならないもん。
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