愛しいあの人

戦いの前兆…？

ミカサは目の前で繰り広げられる異様な緊張感に、心臓がバクバクしているのを感じていた。

彼の視線は、煌めく羽根を持つガブリエルと、穏やかな笑顔を崩さずに立つラファエルの間を行き来する。
二人の間に漂う気配は、まるで嵐の前の静けさのようだった。

「お願い、やめてよ…」
ミカサは声を震わせながら呟いた。

彼の心の中で、不安が膨れ上がる。
ガブリエルはいつも優しさに満ちた天使だったが、今はその表情がどこか真剣で、まるで戦う覚悟を決めているかのように見えた。

「ねぇ、どうする？まだ戦う？」
ガブリエルの声は、彼の耳に鋭く響く。

彼女の目は燃えるような情熱で輝き、まるで光の剣を振るう準備をしているかのようだった。

「そんな…本当に戦うつもりなのか？戦うしか方法はないの…？」

ミカサは自分の声が小さく震えるのを感じた。

彼の胸には恐れが広がり、立ち尽くすことしかできない。彼は彼女たちの間に割って入る勇気を持てなかった。

一方、ラファエルはその場の緊張感を和らげようとするかのように、穏やかな口調で言った。

「そうだよガブリエル、少し落ち着いて。君が、ゼウス様の言うことを聞けば、それだけでいいんだ。何も、血を流す必要なんてないんだよ？」

しかし、その言葉もまた、ガブリエルの剣を持つ姿勢を変えることはできなかった。

ミカサは彼女にとってかけがえのない存在であり、そのために何を犠牲にしても守りたいと思っていた。
使命を全うするためには、時に戦うことも必要だという思いが、彼女を支えていた。

「どうすれば、あなたを守れるのか…」
彼女は心の中でミカサに問いかけた。

彼女の心の中で、愛と使命の間で揺れる葛藤が続いていた。果たして、戦うことで得られるものと失われるものは何なのか。

ガブリエルはその答えを見出すことができずにいた。