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最後の戦い
はぁ… というラファエルのため息が静けさに包まれた庭に響いた。
ミカサは、ガブリエルのそばで立ち尽くしていた。
白く輝くガブリエルの羽根が、まるで星々の光をまとったかのように煌めき、彼女の存在感を一層引き立てていた。
しかし、その煌めきが悲しみをまとうようにも見える。
「帰るべきなんだよ、ガブリエル。もう、諦めろ。これは今の、そしてこれからのお前のためなんだ。」
ラファエルの声は、氷のように冷たく、彼の青い目は無情な決意を映し出していた。
彼はまるで、天界の理想と秩序を守るために生まれたかのように、圧倒的な威厳を持ってそこに立っていた。
ガブリエルは、まるでこの運命の申し出を拒むかのように、叫んだ。
「私はここにいたいの!勝手に私の為とか、余計なこと言わないで!!」
その声は、怒りと悲しみの入り混じった叫びだった。
彼女の目は、ミカサに向けられ、温かな光がその視線から溢れていた。
ミカサは、その視線に胸が締め付けられる思いがした。
ガブリエルの存在は、彼にとって希望そのものだったからだ。
しかし、ラファエルはためらわず手をかざし、光が彼の周囲に集まっていく。純粋な光の弾が、風のようにガブリエルに向かって放たれた。
「戻るのだ、ガブリエル!君が、これ以上悲しまないようにっ!!!」
その言葉は、まるで天界の掟そのものを代弁するかのように響いた。
周囲の空気が緊張し、キィーーーーーンという、音が響いた。
ガブリエルは、驚愕と恐れの表情を浮かべた。彼女の羽根が震え、心臓までもが震える。
あんなの、至近距離で受ければ天使だから死にはしないが、しばらくは動けない。そのうちにどちらも捕まってしまうだろう。
シールドを張る余裕などない。
避けなければ。
そう思ったときには既に遅かった。
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