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約束
ミカサはベランダから星空を眺めていた。
「天使」という存在に触れ始めてから、よくこうやって空を見上げることが多くなったと思う。
冷たい風に目を閉じ、開けたところには、ベランダの手すりに立っているガブリエルの姿があった。
「本当に、君がいるんだね……!」
彼女は微笑みながら、ミカサに顔を近づけた。
「やっとこうやって会えた。久しぶり。あなたに何か…こう…、伝えたいことがあったの。」
「僕もだよ。」
ミカサは慎重に言葉を選びながら話した。
「でも、本当にそれが今でいいのか、分からない。」
ガブリエルは静かにうなずき、
「私たちの運命は、きっとどこかで交わるんだよ、あなたのやりたいこと、知りたい……。」
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ガブリエルがミカサとの再開に心躍らせる姿にラファエルはこう言った。
〚何度言ったらわかるんだ?人間との恋は、『禁忌』だ と。〛
〚お前は、この天使界において、足を引っ張る存在なんだよ!!『天使』という高い地位を下げる気か!!!〛
ガブリエルの目は潤み、まるで涙がこぼれ落ちそうだった。薄く震える唇が、言葉を探そうとしているかのように動いては止まり、胸の奥に秘めた苦しみがにじみ出ている。
ただ一人、彼女の心は静かな嵐の中にあった。
〚 っ!!! すまない…。言い過ぎた…。でも、これだけは言わせて。〛
〚君は天使なんだ。ミカサがどの選択肢を選んだって、君を不幸にしかできないかもしれないんだよ。〛
ラファエルは、本当は彼女の幸福を見届けるための位置にいなければいけないのかもしれない。
しかし、自分の好きな人と、別との人との恋を応援しようだなんていう、強い心は、今のラファエルには、ひとかけらもなかった。
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