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ミカサはひたすらキャンバスを見つめていた。
何日も絵が描けず、モヤモヤした不安でいっぱいだ。
そんな中、柔らかな光が部屋に差し込み、ガブリエルが姿を現した。
「ちょっとぶりだね、ミカサ。」
彼女の声は、心に響くような優しさがあった。
ミカサは驚きつつも、彼女を見上げた。
「ガブリエル…久しぶりだね。」
その瞬間、彼の心の中にほんの少しの温かさが戻ってきた。
「絵が途中だよ。どうかしたの?」
ガブリエルは優しい瞳で彼を見つめた。
「うん…全然、ダメなんだ。」
ミカサは肩を落とし、キャンバスを指差した。
「何を描いても、心が動かない。」
ガブリエルは少し考え込むように視線を外し、窓の外を眺めた。穏やかな風が揺れる木々の間を、明るい光が通り抜けていく。
その光景を見て、彼女は微笑んだ。
「それは、あなたが本当に描きたいものを見失っているからかもしれないね。」
「描きたいもの…?」
ミカサは思わず彼女の言葉を反芻した。
「そう。あなたの中には、まだ色んな景色や感情が眠っているはずよ。」
ガブリエルは、彼に寄り添うように言った。
「一度、心を静めてみて。外の世界を感じてみるの。」
ミカサは彼女の言葉を聞き、深呼吸をした。
外の風が部屋に入ってきて、彼の心を少し軽くしてくれるようだった。
「外に出る…それが必要なのか?」
「ええ、きっとそうよ。」
ガブリエルは笑顔で頷いた。
「自然の中で、何かを感じることが、きっとあなたの創造力を呼び覚ますわ。」
自分の心の中に小さな希望の光を見つけられるかもしれない…。
「わかった。少し外に出てみるよ。」
ガブリエルは微笑み、彼の手に触れる。
「大丈夫。あなたには、描きたいものがまだ待っているから。」
彼女の言葉がミカサの心に響き、勇気が湧いてきた。絵を描くことに対する情熱を再燃させるため、彼は思い切って外の世界に足を踏み出すことを決めた。ガブリエルの存在が、再び彼の心に光をもたらしてくれたのだ。
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