私、こう見えて顔にはうるさいの

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私、こう見えて顔にはうるさいの

 推しの兄弟カプで興奮してまった私は、我を忘れてアラン王子とカデル王子の二人を無理やり絡めようとして、しくじってしまった。  勝手にカップルというレッテルを貼られたアランは、怒りのあまり私に処刑を言い渡す。 「王族をそのような、いやらしいものにするとは万死に値するっ!」と。  アラン王子の一言で、あれよあれよとたくさんの兵士たちが、舞踏会の会場に入り込んで来た。  そして私の両腕を荒縄で縛り上げ、会場から連れ出される。  転生して数分で、処刑されるの?  まだ何もしてないわ……。  ~翌日~  私は宮殿の地下にある、暗い牢屋にぶち込まれた。  処刑方法はギロチンで首から……バッツンらしい。あぁ、考えただけでも怖い。  なんで転生したばかりの私が死刑なのよ?  はぁ、アラン王子のバカッ!  ちょっと絡めたぐらい、良いじゃない。  あなただって私の同人誌を読んだら、沼にずっぽりかもよ。 「でも、オリヴィアも可愛かったな……」  現物もあんなに小さな顔で、目も大きいし。  アイドルより可愛いかも?  大人しい性格がまた良いのよね。  そう言えば、オリヴィアでも同人誌を作ったけ。  相手は確か……。 「おい! ユリ! 一人でぶつぶつとうるさいぞ。お前は大罪を犯した奴なんだから、静かにしていろ」 「チッ……岩みたいな顔した奴に言われたくないのだけど」 「な、なんだと!? 貴様!」  私、こう見えて顔にはうるさいの。  こんなモブ兵士は、素材として失格ね。  そんなことを考えながら、モブ兵士と柵越しに睨めっこをしていると、誰かが地下に降りて来た。 「あの~ お取込み中、失礼します。オリヴィア様から頼まれて、ユリ様にお届けものがあるのですが……」  地下牢に入ってきたのは背の高い女性だった。  黒いメイド服を着ていて、首元から白いフリルのエプロンをかけている。  頭にも同系色のカチューシャ。手にはレースの手袋。  現実世界のコスプレとは違い、本格的なメイドって感じ。  スカートの丈もかなり長い。  その姿を見て、私はピンときた。 「あ、あなたは!? ザリナちゃんっ!」  そう、私は彼女を誰よりも知っている。  だって……もう一つの推しカプだから。 「え? ユリ様は私のような、ただの使用人の名前をご存知なのですか?」 「もちろんよ! あなたはオリヴィアと”姉妹(シスター)”なんだからっ!」 「はい? 一体なにを仰っているのですか? オリヴィア様と血は繋がっておりませんが……」 「もうザリナちゃんたら……そっちの繋がりじゃなくて、身体の方に決まってるでしょ!」 「?」
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