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「ふたりで育てよう」
彼がそう言ってくれた。
「いいの?」
「ああ、君がどうしても育てたいっていうなら、かまわないさ。誰の子であっても命は大切にしなきゃ。僕も力になるよ」
「ありがとう!」
彼からそう言われるとは思ってもいなかった。
自分の子供でもないのに、ほんとに優しい人だ。
「ここにいていいんだって、よかったね」
私は顔を近づけて微笑んだ。
まだ小さいその子は事情がわかってないのか、辺りをキョロキョロしている。
「ねえ、名前をつけてあげましょうよ」
「そうだね、何がいいかな」
「そうね…たとえば、ジョージってどう?」
「いいね、やっぱりGから始まる名前がいいもんな」
私はビニール袋に入っていたその子を床に出してあげた。
「ジョージ、あなたは今日からジョージよ。一緒に暮らしましょ」
小さいながらも元気そうなジョージは嬉しそうにしばらく部屋の中を走り回っていたが、そのうち姿が見えなくなった。
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