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彼女のことを思いやっていたつもりだったが、世間一般から見てそれは真逆のコトだったらしい。
「本当に……大丈夫なのかな」
こんなスタートで。
父親になるため、これから赤ちゃんを迎えるためのプレママ・プレパパセミナーは何回も受けてきた。
プレママ・プレパパサロンには奈津美の他に八組の家族が来ていた。
しかし、旦那はボクを除いて二人だけ。しかも、そのうちの一人は余程興味が無いのかぐうぐうとイビキをかいて寝始める始末だ。
「羨ましいです。協力的なパパで」
そのような彼女たちの言葉を聞いて、ボクは安堵した。
インターネットでそれなりに調べて赤ちゃんを迎えるための道具は準備してきた。
オムツとか、タオルとか、ティッシュとか――……とにかくオススメされた物をかたっぱしから買い物カゴにぶちこんだ。
「あれ?」
ふと右の視界――……、向かいのあぜ道に人影がある事に気が付いた。
そのシルエットは小さかったからコドモだろう。
こんな田舎では遊びに行くのも車を利用しなければならないから、ここ辺で遊ぶのは仕方がないのだろう。
その影は二つのようで、ピョンピョンと跳ね回る様子からそれなりに楽しんでいることが分かった。
ボクのコドモもああなるのかな。
そう思った言葉は、けれど声に出なかった。
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