堕天使小学校

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堕天使小学校

『あいつらはなんてみんな白い羽なんだ』  天使の小学校ででミヒャエルがブツブツ言っていました。  今日は他の学校との交流の日です。  交流するのは天使の小学校。  みんなプクプクと太って、何故か裸だし、全員が白い羽で手を取りながらフワフワ浮かんでいます。  マサが不満げに言います。 「なぁ、小学校ってこんなに差別化されてるの?  白い羽だったら浮かべるのは知ってたけどさ、全員が白い羽だよ?  あいつらなんだって、あんなにプクプク艶々してるんだ?  でもやっぱり素っ裸なんだな。恥ずかしくないのかなぁ?」  ラフィが言います。 「おかしいですねぇ。そろそろ私達も飛べるんでしょうか?  それとももしかしたら、お金の問題なんでしょうか?」  担任のエルギオス先生が、大きな黒い羽をバサバサとしながらみんなの元に来ました。 「いい加減に気づけ。お前らは先生の羽の色が見えないのか。」 「え?まさか・・・・」 「僕たちって羽が生え替わっても・・・」 「白くならない???」  ルシファー校長が全校生徒に呼びかけます。 「はい。校歌を歌いますよ。  まずは天使小学校の皆様から。」  天使たちは裸だったくせにいきなり白いチュニックを着た姿に変身した。 素早く並ぶとグレゴリオ聖歌を歌い始めました。  天使小学校の校歌の指揮を振っているのは天使小学校の校長である大天使ミカエルでした。 「うっ・・歌声が綺麗すぎて気分が悪い・・・」  堕天使小学校の皆は顔面蒼白になって、トイレに列を作りました。 「はい、大変結構でした。  おや?わが校の皆様は?」  さすがにルシファー校長位になると冷や汗はかいても気分が悪くはならないらしく、堕天使小学校の子どもを探しに行きました。 「はい、皆さま、お返しにわが校の校歌を歌いますよ。」  堕天使小学校の皆は適当に並びながら、色とりどりの天使の翼を並べて歌い出しました。  堕天使小学校の校歌は幼稚園からずっと聞かされている〇ーメンの主題歌でした。  そのハーモニィはとても美しく、楽曲としては見事だったが、その曲調の恐ろしさに天使小学校の皆様はいかにも天使らしく、キラキラと星を降らせながらさりげなく空へ帰って行ってしまいました。  天使小学校のミカエル校長と堕天使小学校のルシファー校長は顔を見合わせて話し合った。 「やっぱりこの交流会は無理がありそうですね。  最近は悪い人間が増えて、騙される人も多くて、堕天使が忙しいのでうまく交流ができて、お互いのお仕事を大人になったら手伝えればいいと思ったんですけれど。」 「仕方がないですね。悪いことをした人間も平等に丁寧にお迎えに行きたかったんですけど。やり方を変えますよ。  悪いことをして堕天使が迎えに行く時には日本の獄卒に借りて火車で迎えに行きますよ。」  天使と堕天使はやはり別の世界の生き物のようです。  天使のお仕事が忙しくなるような世の中に、是非とも私が死ぬ頃にはなっていてほしい物ですね。 【了】  
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