§6.メランコリックな気持ちと彼のやさしさ

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 芹沢くんの車の助手席に乗せてもらえて光栄だな、なんて密かに幸せをかみしめていたら、車がどんどん山道を進んでいく。  到着した場所は山の中腹にある展望台だった。  そこは敷地がとても広く、カフェテラスも併設されているため多くのカップルがデートで訪れていた。 「うわぁ、すごい景色だね!」 「ちょっと寒いけど空気が澄んでるだろ?」  駐車場から降りて歩くと、すぐに見晴らしの良い場所があり、街並みを一望できた。  眼下に広がる絶景を目にし、私は思わず声を上ずらせてしまう。 「カフェからも見えるから。あそこでランチしよう」  芹沢くんが自然に私の手を取り、カフェのほうへ誘導する。  手を繋いだのは、人ごみではぐれないためだろう。だけど私の心臓はドキドキと鼓動を速めた。  カフェはさらに高台に建っていて、テーブル席からもパノラマビューで景色を楽しめるように設計されている。  人気のデートスポットなのでかなり混雑していたが、芹沢くんは事前に予約してくれていたようで、すんなりと席につくことができた。  「今日は味の分析はなしにしような」 「うん。純粋に料理の味とこの景色を楽しもう!」  さすがにこんな素敵なカフェに来てまで仕事モードでは味気ない。
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