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芹沢くんの車の助手席に乗せてもらえて光栄だな、なんて密かに幸せをかみしめていたら、車がどんどん山道を進んでいく。
到着した場所は山の中腹にある展望台だった。
そこは敷地がとても広く、カフェテラスも併設されているため多くのカップルがデートで訪れていた。
「うわぁ、すごい景色だね!」
「ちょっと寒いけど空気が澄んでるだろ?」
駐車場から降りて歩くと、すぐに見晴らしの良い場所があり、街並みを一望できた。
眼下に広がる絶景を目にし、私は思わず声を上ずらせてしまう。
「カフェからも見えるから。あそこでランチしよう」
芹沢くんが自然に私の手を取り、カフェのほうへ誘導する。
手を繋いだのは、人ごみではぐれないためだろう。だけど私の心臓はドキドキと鼓動を速めた。
カフェはさらに高台に建っていて、テーブル席からもパノラマビューで景色を楽しめるように設計されている。
人気のデートスポットなのでかなり混雑していたが、芹沢くんは事前に予約してくれていたようで、すんなりと席につくことができた。
「今日は味の分析はなしにしような」
「うん。純粋に料理の味とこの景色を楽しもう!」
さすがにこんな素敵なカフェに来てまで仕事モードでは味気ない。
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