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学校帰りにリョウの家に寄ることもあった。事情はよくわからないが、両親はおらず妹と二人暮らしらしい。いつでも来ていいと言われた。
いつでも来ていいと言われたが、さすがに年ごろの妹がいていつでも来ていいはまずいだろう、と助言すると
「もしかしてオレの妹に興味あるの?」
とヘラヘラした顔で問われたので、何となく苛ついて真面目に返事した。
「興味あるなしは関係なく、妹さんは高一だろ?いきなり見知らぬ変な男がいたらイヤに決まってるだろ。ちゃんと確認を取れ」
「ああ、そういうことね。陽南汰なら大丈夫。ミナリはイケメン好きだから」
「だからそういう問題じゃないって。俺がイケメンでもブサイクでも確認は取れ」
「そういうもの?」
「そういうもの」
リョウは二度ほど軽くうなづき納得したようだった。
「ちなみに、オレの妹に全く興味はない?」
陽南汰は素直に答えた。
「興味はある」
「おっと、急に本音が出たな!」
リョウがいつものへラヘラな笑顔を見せる。この顔を見ると何でこんなにも苛つくのだろうか。
「そりゃあ、興味あるよ。リョウが美人だから、妹さんも美人なんだろうなって思うし」
リョウの顔が固まる。
「オレって美人だっけ?怖いとはよく言われるけど。美人って女性に向けて言うセリフじゃね?」
「美人に性別は関係ないよ」
「あ、そう……てかさっき、名前で呼んだよな?」
「ん?さあ、覚えてない」
表情筋を一切動かさずに答えた。
「え、もしかしてそれって照れてる顔か?」
また、ヘラヘラしてやがる。全くもって苛つくやつだ、と思いながら陽南汰は鼻で笑った。
「え、ちょっと待って。何でオレが鼻で笑われるの?間違ったこと言ったか?」
「お前はホント、化け物みたいに頭がいいのに馬鹿だな」
「はぁ!?どういう意味だよ、全く意味がわからん」
「一生わかんなくていいから」
また笑いが鼻から溢れた。
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