たぶん、あれは天使だと思う

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   *  学校帰りにリョウの家に寄ることもあった。事情はよくわからないが、両親はおらず妹と二人暮らしらしい。いつでも来ていいと言われた。  いつでも来ていいと言われたが、さすがに年ごろの妹がいていつでも来ていいはまずいだろう、と助言すると 「もしかしてオレの妹に興味あるの?」  とヘラヘラした顔で問われたので、何となく苛ついて真面目に返事した。 「興味あるなしは関係なく、妹さんは高一だろ?いきなり見知らぬ変な男がいたらイヤに決まってるだろ。ちゃんと確認を取れ」 「ああ、そういうことね。陽南汰なら大丈夫。ミナリはイケメン好きだから」 「だからそういう問題じゃないって。俺がイケメンでもブサイクでも確認は取れ」 「そういうもの?」 「そういうもの」  リョウは二度ほど軽くうなづき納得したようだった。 「ちなみに、オレの妹に全く興味はない?」  陽南汰は素直に答えた。 「興味はある」 「おっと、急に本音が出たな!」  リョウがいつものへラヘラな笑顔を見せる。この顔を見ると何でこんなにも苛つくのだろうか。 「そりゃあ、興味あるよ。リョウが美人だから、妹さんも美人なんだろうなって思うし」  リョウの顔が固まる。 「オレって美人だっけ?怖いとはよく言われるけど。美人って女性に向けて言うセリフじゃね?」 「美人に性別は関係ないよ」 「あ、そう……てかさっき、名前で呼んだよな?」 「ん?さあ、覚えてない」  表情筋を一切動かさずに答えた。 「え、もしかしてそれって照れてる顔か?」  また、ヘラヘラしてやがる。全くもって苛つくやつだ、と思いながら陽南汰は鼻で笑った。 「え、ちょっと待って。何でオレが鼻で笑われるの?間違ったこと言ったか?」 「お前はホント、化け物みたいに頭がいいのに馬鹿だな」 「はぁ!?どういう意味だよ、全く意味がわからん」 「一生わかんなくていいから」  また笑いが鼻から溢れた。
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