僕だけの守護天使

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 いきなり僕の守護天使だと言われても、信じられるわけがない。だって、守護天使なら今までのトラブルを回避させてくれるはずだろ? 「死なない程度のトラブルは見守るだけなんだよねー。トラックからは守ったじゃん」  あっさりと言い切るエマ。 「て、天使なのになんで制服? おかしいだろ。それに! 天使なら羽根! 羽根を見せてよ!」  僕が質問をしても、『制服は着てみたかったから』『天使の羽根は必要がないときは出さない主義』などと、その場を取り繕うような説明ばかりで、あきれてため息が出る。この子が守護天使だなんて、とても思えなかった。  彼女は、僕のトラブル回避能力を鍛えるために現れたと言う。僕があまりにトラブルに遭いすぎていて、見かねたらしい。 「アタシがしっかり指導してあげるから、覚悟しなさいよ!」  威勢のいい物言いに圧倒され、僕は渋々うなずいた。  エマいわく、小さなトラブルを回避できれば大きなトラブルも回避できるとのこと。僕の場合、公園から飛んできたボールに気づいて避けていれば、トラックにひかれることもない、ということだ。
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