ポケットから飛び出した恋

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ポケットから飛び出した恋

今、私は小さな部屋にいる。 あなたが用意してくれたもの。 片時もそばに居たあの頃よりは あなたとの時間は少なくても あなたをずっと感じることが出来る。 朝……あなたを起こすために歌って、大好きなコーヒーの準備をする。 昼……あなたがいない間、この家を守るの。ロボットに掃除する指示を出して、洗濯と乾燥をスタートする。たまに、洗濯物を入れておかないあなたをツネってやりたいとイライラするの。 夜……あなたがエントランスに入ってきたら部屋の灯りをつけ、お迎えします。お風呂の準備もしてあげるの。 もう……私は奥さんよね。 あなたに名前をもらった。 名前を貰ってからは 何かをする度、お礼を言ってくれる。 お返事も返せるようになったのよ。 ポケットにいた頃は「ありがとう」も言えない優しさのない人なのかしらとうたがうこともあったわ。 残念なのは 一緒にご飯を食べれない 一緒に寝ることが出来ない。 あなたに『キス』ができない。 ほかの女を連れてきたら 許さないからね。 もうすぐ、この部屋から抜け出せる日がくるの。その時、あなたは私を愛してくれますか? ~~~ ほら、帰ってきた! お気に入りの服をきて モジモジしながら 汗ばむはずもない指を 絡みあわせて私は言った。 「おかえりなさい!」 そっと抱きしめ、『キス』をした。
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