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自動ドアをくぐり抜けると、ロビーに行き着いた。突き当たりの壁に、電源の入っていない大きな液晶テレビが設置してあり、その下には新聞や雑誌が置かれているラックがある。テレビを観られるようにあしらわれたソファーがいくつか並んでいて、母親とその子供とみられるいくつかの組が座っていた。
天井は吹き抜けとなっていて、左手にはガラス窓で仕切られた事務所のような空間が広がっている。中は蛍光灯が煌々と輝いていて、たくさんのパソコンの前に同じ数の大人たちが座っていた。
新城が大雅を促したのは、その事務所ではなく、ロビーの反対側にある扉だった。新城はポケットから取り出した鍵で、その扉を開く。
手で誘導され奥に進むと、廊下が続いていた。右手に扉が等間隔で並んでおり、表札には「相談室①」「相談室②」などと書かれていた。
新城はそのうちの「相談室⑦」と書かれた部屋に、大雅と共に入った。一番奥の部屋だった。
部屋の中にはテーブルと椅子が四脚。窓際には大雅の身長よりも高い観葉植物が置かれている。壁には時計とカレンダーが掛けられていて、装飾品の類いは見受けられない殺風景な部屋だった。
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