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「これから藤堂くんが過ごす一時保護所には、様々な事情を抱え、ここにやって来た子供たちがたくさんいる。デリケートな問題だから、ここに来た理由を、他の子たちには言ってはいけないし、聞いてもいけない。あとは集団生活になるから、一日のスケジュールは決まっている。あとで支援員の先生がここにいらっしゃるから、詳しくは先生から説明を受けるように」
そのとき、まるでタイミングを計ったかのように扉をノックする音がした。どうぞと新城が声を張ると、白いポロシャツとネイビーのジャージを履いた男が入ってきた。
「初めまして! 藤堂大雅くん。俺は山本雅志。よろしくなっ!」
今まで大雅が出会ってきた大人たちの中で、一番体格のいい男だった。ポロシャツの袖から覗くむき出しの腕は太く、また胸もがっしりと山のように盛り上がっている。普段から鍛えているのだろうということが容易に想像できた。整髪料で短い髪を立たせ、額にしわが浮かぶほどににこにこと笑っている。穏やかに話す新城とは違い、山本は底抜けに明るそうな印象を抱いた。
「じゃあ、早速だけど、ここでの生活について、いくつか伝えておこうか」
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