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ここに持ってきた私物はすべて預かりになるという。勝手に連れてきたくせに理不尽な決まりだと思いながら、山本に渡されたジャージに着替えた。着替えているあいだ、二人は部屋から出て行ったが、頃合いをみて戻ってきたのは、山本だけだった。
「これが一日の流れだ」
山本はそう言って、手に持っていたクリアケースから一枚の紙を取り出し、テーブルの上に置いた。見ると、食事や学習時間、運動の時間、自由時間などと、日中にやるべきことが細かく時間で区切られて並んでいた。——刑務所かよ、と、大雅は心の中で吐き捨てる。
「今は昼の一時すぎだから、みんな昼飯を食い終わってホールで自由時間を過ごしているよ。大雅も腹が減っているだろう。新城先生が、飯を持ってきてくれるからな」
「……いらねえ」
いつの間にか「藤堂くん」から「大雅」と、名前呼びになっている。距離の縮め方が半端ねえなと、嫌悪感をいだく。本当は腹が減っていた。だが、簡単には屈したくなくて、精一杯の虚勢を張った。そんな雑な言葉遣いを親にすれば、生意気なクソガキだと罵られ、激しい暴行を受けるだろう。
「なに意地を張ってるんだよ、大雅!」
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