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食事の乗ったお盆と、テーブルのあいだをじっと睨みつけていた大雅の頭を撫でて、山本は新城と共に部屋を出ていった。一瞬遅れて、ハッとした大雅は二人が出ていった扉に視線をうつす。
――オレ、いま、撫でられたのか……?
ほんの一瞬のことだった。それなのに、山本の分厚い手のひらの感触が、いまも残っている気がする。ダメだ、信じるな。オレがどんな目に遭っていても、誰も気付かず、助けてくれなかったじゃないか。
小学生の頃、大雅は一人のクラスメイトを虐めていた。家で自分が受けている仕打ちを隠すため、学校ではやんちゃなガキ大将を演じていたのだ。
隙を見せるわけにはいかなかった。幼い性分であったとしても、周りから自分はこう見られていたいといういっぱしの羨望はあった。
学校ではクラスの中心人物として君臨し、自分の思い通りにクラスメイトを掌握することによって、大雅は自分の存在意義を見出していた。
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